フラッシュバック対処法
服部信子 著『今すぐできる心の守りかた フラッシュバック・ケア』等を参考に、私の経験でまとめています。
フラッシュバックは過去を今の出来事として感じること。
今に意識を向け、安全に気づく(過去を過去として捉える)
一緒に居ると伝える。あなたのせいじゃない。怒り、悲しみといった感情を共有して(治療者も一緒に悲しむ、代わりに怒る等)安心感をはぐくむ。
1解離が強い場合 名前を呼ぶ 穏やかな声ではっきりと 体には触れない
2過去と現在を区別「私がいるのがわかりますか ここはどこ、今、何才?」
3フラッシュバックと認識 「今、急に何かが変わりましたね。気づきましたか」「この感じは初めてですか」「あの出来事が起きているように感じますか 大丈夫、それは昔の記憶(フラッシュバック)です」「脳の神経が刺激されているだけ。今は起きていません」
4出来事の終わりを思い出す 「大丈夫だと思えた時のことを思い出してみましょう」
5安全なリソースを思い出す。美しい景色、自然に包まれ寝そべっているイメージ。思い出の品物、支えになる人等、危険行動にブレーキをかける方法を事前にリスト化
・ちょっとマシな部分に意識を向け、そこにふみとどまる(悪い方に目を向けない)
・グルグルするときは、体の緊張をゆるめ現実を受け入れる(良い意味であきらめる)
・すぐできる建設的なことをする(歯を磨く 爪を切る等)→繰り返し根気よく続ける。
・目を開ける、まばたき 今ここを感じる。内側の不安から、意識を外側に向ける。
・周りを見回して、(危険がそこには)いないいない確認。視点をあちこちに移動させてみる(部屋の天井の隅を左右交互に見る)。
・体チェック 自分の体を触って、今ここは安全だと感じる。ボディースキャン、体で感じることを言葉にする。大人になった自分の身体が大きくなっていることを確認する。
・違いチェック 今は安全と声に出す。今日の日付、今いる場所、誰と一緒にいて、何をしているかなどを言葉にする(時間、場所などについてのオリエンテーション)
「今、となりにいるのは○○、あの時じゃない」。「私は○○、今、○○歳。場所は○○。今私は、安全に、○○とここで暮らせている」。「大丈夫、済んだこと、今は元気」と言い聞かせる。「今日は〇年〇月〇日で、私は今ここに、~と一緒にいて、~をしている」という。
自分に言い聞かせている言葉で、「始まれば終わる」を繰り返す。通り過ぎて行けると言う。思い出されているのは昔のこと、過去は過去、今は今。ただ、列車の中から通り過ぎる景色(過去のできごと)が見えているだけ、とイメージ。
・ボックス呼吸 ①ゆっくり息を吐く ②止める ③吸う ④止める を正方形の辺のように同じ長さで繰り返し、徐々に吐く時間を長くしていく(吸う時間の2倍)。
安全を確認して深呼吸。体の動き、手足の感覚に注意。大地に支えられている感覚。
まあるい呼吸 息を吸いながら頭の上で両手をあげて丸をつくり、吐きながらおろす。
『鬼滅の刃』の呼吸法、『NARUTO』のチャクラ等、相手の好きな物語に合わせてイメージしてもらうのも効果的かもしれません。
・動きや声で、今、ここを感じる
合谷(ごうこく、手の甲の親指と人差し指の骨が交わる所の人差し指側)をタッピング。鎖骨下、首の後ろ、背中、苦しい所等。
バタフライハグ 深呼吸と自分を抱きしめるのを繰り返す。励ましながら優しくなでる。
安全な感覚を思い出す。ぬいぐるみ/クッションを抱きしめる。タッピングする。少しましになったところで、今度はぬいぐるみを一番しんどかったときの自分に見立ててなだめる。子供時代に将来の自分をイメージして「生きていてね」といってやり過ごした等。
ハンカチキャッチ、柔らかいボールでのキャッチボール(意識をすぐ眼前に戻す)
グラウンディング 足の裏を意識してもらい、地下深くマグマのエネルギーが片足から登って来て、丹田(おへその下、第二チャクラ)まで登り、そこで数秒ため、そこから反対の足を下りて、地面に戻っていくイメージをしながら、深呼吸を合わせて行う
(感覚麻痺があるときは、まず手指をグーパーグーパー、つま先など動くところを動かす。予防のために普段のトレーニングに使ってもらう)
スローダウン 座っている椅子や地面と足の感覚に意識を向ける。足をそっと踏みならす。踏み込みながら歩いてもらう。その場で見えるもの、聞こえる音、足の裏を感じる。歩きながら足の感覚を言語化する。
プッシング 腕で壁を押す ストップ!と言って、嫌なイメージを手で押し出す。
ひりひりハンド 両手を5秒間すばやくこすり合わせる。両手をほんの少し離す。指から昂った気持ちが流れ出ていく。
ふりふりダンス(スワイショウ)腰をひねり、数を数えながら手足を順番にゆすっていく
びっくり箱ジャンプ しゃがんで3つ数えてジャンプ。爆発しそうな気持を吐き出す。
顔をクシャと潰す。声を出して笑う。おなかや体に響くような声を出す。例えばブーと言う。好きな曲を宇宙語にして歌いながらヘンテコに踊る。
ゆっくりと膝を曲げ伸ばしして身体の中心に意識を向ける
金魚体操 仰向けに寝て体を左右に揺らす。
何かに掴まりながら首をかなり後屈して上を向く
胸を開く体操(ヨガ、深呼吸)
おでこと後頭~後頸部(脳幹)に手を当てる、お腹、腎臓へタッチ、気を送る
・味覚、嗅覚、触覚などを使う
水を口に含み、味や温度を感じ、体の中の動きを追う。喉を通っていく感覚に気づく。
ガムやミントを口にし、その味や食感に意識を向ける
気に入った香り、アロマや、ミントを嗅ぐ
いくつかの異なるものを触って、違いを感じて口に出す
指で服の布地をさわり、繊維を感じたり、毛玉を探す
手に刺激を与える物を握る。土いじりをする
髪の毛を触ったり、指を動かしたりする
肌で風を感じる 風で揺れるカーテンを眺める 太陽の日差しを背中で感じる
感覚がマヒしているようなら、冷たい感覚刺激を利用。冷たい水で手を洗う。首筋にアイスノンをつける。保冷剤をタオルに包んで握る。
・呪文を唱える/言葉を使う/描写する
アファメーション(「安全です」「大丈夫です」他自分が安心できることばかけ)。ポジティブな言葉の変換。自分が落ち着ける、安心する言葉をいくつか用意してそれを口にだす。
これはフラッシュバック、今の状況を確認して今は違うと唱える。今に焦点を当てて、過去のことが脳を介して起きているだけ、身体感覚が生じているだけ、と言い聞かせ、何かしらの動きをしてそこに集中。
「パーツ(部分人格)が出てきたね!パーツの感覚!」と頭の中でテロップを流す。フラッシュバックを「フラッシュバックさん」と呼び、「今私は大丈夫なので安心してね」と声をかける。ぬいぐるみ、パペットで再現してみる(少し距離がとれる)
今見ているスマホに何が映っているか、今読んでいる文字を読み上げる。これから今日どんなスケジュールかなど具体的に話す。
思い出す工夫(待ち受け、メモ帳、ポストイット、アクセサリー等)
全く関係ない言葉(しりとりなど)などをする。
カテゴリー分け⇒自分の好きなアーティストの曲のベスト10等、好きなものを数え上げ、注意の切り替えを行う。
数を数える。歩きながら20から逆にカウント。
区切りをつける。これで終わり!と言葉にする。
手をパンと叩き、「つらい記憶は終わりを迎えた!」と言う。
思い、今していることの実況中継。声に出して、今の気持ちや身体に感じるものを話す。身の回りにある物を描写していく。見えるもの、聞こえるもの、感じる感覚をあげる。キョロキョロしながら部屋の物を捜す。
例えば、部屋にある丸い物(四角や三角でもOK)を3つ探す。着ている服、持ち物から名前と色を10個言う。
5-4-3-2-1法 見えるもの5つ、聞こえる音4つ、触れているもの3つ、好きな匂いと味を思い出す。言葉にしていく。
安全な感覚を思い出しながら、言葉で確認する 好きなもの、可愛いものを言う。見回して自分の好きな物をいって、どんな所が好きかなど話してもらい、身体に感じることや、気分などを言葉にする。その感覚を味わってもらう。最近の良かったこと嬉しかったことなどを話してもらい、身体の感覚、色や感触など色々味わってもらう。Ex. お布団に入った時に「今日もお布団にたどり着きました」
体の痛みを感じる部分(胸や腹)に手を当て、ごめんね、ゆるしてね ありがとう、あいしているよと伝える。フラッシュバックする出来事に対して、ホ・オポノポノを使う
「素直な思いに気づいてあげられなくてごめんね」
「消そう、忘れよう、押し殺そうとする私をゆるしてね」
「いつも傷つくことから守ろうとしてくれてありがとう」
「これからもずっと、あなたのことをあいしているよ」
お祈りの言葉 例えば、ラインホールド・ニーバーの祈りの言葉を唱える
God, grant me the serenity to accept the things I cannot change,
Courage to change the things I can, and the wisdom to know the difference.
神よ 変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。そして変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。
・治療者が用いる対話あれこれ
ポリヴェーガル理論を知る。日ごろより自律神経の状態を観察。笑う、顔をクシャとするなど腹側迷走神経を刺激して安心感を高める。
あるキャラクターを1度思い浮かべ、5秒間1回もそのキャラクターを思い浮かべないように他のこと考えようとする。考えないようにすると逆に考えてしまう。フラッシュバックも同じ。
ヤバいと感じていることは、自分を守る機能だから、無くすことはできないけれどマシにできることを話し合う。「警告信号が鳴りすぎて、やりたいこともできないのは損だものねえ。ちょうどよく鳴らしてくれるようにできないか、いろいろ試してみたいですね」
会話の途中で、表情や姿勢に変化を感じたときに、先ほどと比べてマシになっているかどうかたずねる。「少しマシ」を感じたところで、「今さっきの感じはフラッシュバックで、体感として思いだしているのかもしれない」と思ってみるとどうかと提案、それを真正面の自分の身体に近いところから少し離れたところに置いてみて(動作で示す)少し距離を置いて眺められるかどうかを尋ね、そうしてみると「マシ」かどうか話し合う。
少しでもマシな感じをつかめたら、それをできるだけ楽しく話し合う。都度、しんどさを感じた身体の場所のSUDsを聞いてみる(SUDsサッズ Subjective Units of Disturbance 感覚を数値に置き換え)
コンテイナーテクニック 感情を箱や布で包み込み、意識の中で安全に保管し、距離をとる(三重の包み込み)。
虐待者を凍り付かせ、安全な距離まで離して、有能な保護者に来てもらい、その状況でしてみたいこと、言いたいことをイメージする。