精神科外来チェックリスト
初診時のチェック
消えたい気持ち(自殺念慮)の有無を確認。抑えきれない切迫した気持ち
心電図と採血(QT延長、肝機能、血糖、貧血など)
服薬前に妊娠の可能性がないことを確認。催奇形性を説明
副作用の眠気、焦燥 →服薬したら運転などの危険行為は避ける
身体疾患の除外
甲状腺(躁鬱と関連)、自己免疫性脳炎(若い女性の卵巣腫瘍)など
うつ、呼吸苦にALS、手足の痺れ、歩行困難に筋ジスやMS
脱水時の発熱やリチウム中毒(脱水、感染で濃度上昇)に注意。 逆に多飲による水中毒も
急性の精神運動興奮状態で入院。拒食、拒薬が続く場合は「基礎疾患はない」という家族や前医の言葉を鵜呑みにしない。緊急採血、心電図を施行。その際は、5人以上で四肢を固定。抵抗させないことが患者を守ることにつながる。脱水状態で暴れ続ければ、急性腎不全、致死性不整脈を誘発しうる。
認知症の症状悪化で入院の際は、誤嚥による肺炎など感染症、慢性便秘によるサブイレウスが潜在しないか注意。 頭部CTを必ず。脳卒中、転倒→慢性硬膜下血種。
高齢、糖尿病、精神疾患→ (無痛性)心筋梗塞
心電図は年に1度 ほぼ全ての抗精神病薬、抗うつ薬でQT延長に注意
QT延長 440ms以上で減薬を検討 500以上で薬剤中止
メマンチンは高度徐脈、完全房室ブロックに注意 ADHD薬も心臓に影響
半年に一度は採血。肝機能、血糖、甲状腺、リチウム濃度、貧血に注意。
AST ALTは基準値の2倍以上は注意。100を越えたら中等度肝障害として扱う。薬剤性肝障害は服薬後60日以内に起こる。
透析中に禁忌→リチウム、インヴェガ、SNRI
感染症の治療中 HIV薬、抗真菌薬、クラリスロマイシンは飲み合わせ注意。ベンゾの作用増強、ラツーダ、ブロナンセリンは併用禁忌、ベルソムラはクラリスロマイシンに禁忌。
フェリチン50以下で潜在性鉄欠乏によるうつ症状があり得る。
鉄欠乏→血清鉄、フェリチン、TIBC/UIBC
大球性貧血→VB12、葉酸 出血性→便Hb 網状RBC 腎性→EPO
オランザピン、クエチアピンは3か月に1回HbA1c
甲状腺 TSH 8以上、0.3以下でコンサルト
プロラクチン 70以上で無月経、乳汁分泌が起こる
診察の手順
まず名前を名乗る。同じ高さで目線を合わせて挨拶。できれば待合まで迎えに
家族、友人を同席させるか確認 原則、本人に隠して家族だけに話をしない
いつから症状があって、どのように変化しましたか
睡眠、食欲、便通、生理不順、既往歴、環境変化、家庭、仕事はどうですか
薬の副作用の説明(吐き気、眠気、ふらつき、焦燥感、皮疹などアレルギー)
採血や心電図をする理由、必要性を伝え、結果の説明をしっかりする。
初診時以外でも、薬の変更、増減、副作用チェックなど変化あれば1~2週で再診
入院時、退院時は、うつ病の自己評価尺度(CES-D等)で客観的に比較。
患者の体調、予定を意識して治療計画(就職進学など生活の節目に処方を減らさない)
トラウマの兆候も目を配る。自分から話せない。信頼、安心が必要。
自殺の予見性があれば予防措置(入院を勧める等)をとり、カルテも記載
運転の禁止。妊娠時の催奇形性について説明。カルテ記載も。
必要に応じて休養、自立支援の診断書。手帳は半年の通院、年金は一年半必要。うつ、PTSDの診断等で責任の所在は慎重に。
初診時のふるまい、印象をメモしておくと再診以降の変化が分かる。
診察の基本姿勢
ゆっくり低いトーンで話す。感情的にならない。
まずは信頼関係を作る。最後の「。」までしっかり話を聞く。
7割は相手に話してもらう(こちらが話しすぎない)。
あいさつ おまたせしました / 今日来ていただいてよかったです(「この程度のことでかかるのは申し訳ない」と思っている場合が多い) / お気をつけてお帰りください。
対話の型
頷き、は行の相槌(ほう、へえ、ふうん、はあ)の使い分け→対話を促す。
「そこをもう少し詳しく説明してください。」→会話を深める。
「~ということでしょうか」と話をまとめる。→方向性の修正
「一番大事な問題はどれでしょう」→今日話すべき問題を絞る。
話す時間の枠を決める。次回予約やまとめの話をする。長く話させすぎない。
問題を整理し、いつ中断してもいいように。最後に大事な問題を語りだすことも。
良いところを認め、ほめて促進する。(良くないところをむやみに否定しない)
自分の価値観をいったん置く。正論が良いとは限らない。
言葉の裏の思いを汲み取る。Ex. 家族は心配してくれてる→それが負担になっている。
相手が自分で気づけるように促していく。(ソクラテスの産婆術)
相手が聞き飽きていない言葉を選び、いつもと同じではない反応を引き出す。
対話の中で、生きやすくなるヒント、希望を一緒に探す。
どうにもならない!から、まあいいかと思えるように。
相手の反応を見極めながら、ときに適度なユーモアも。真剣に対立しないように。
認知症、自閉、統合失調症で、言葉が不明瞭で分からなくても、むやみに聴き返さず感情や全体の雰囲気を受け止める。握手で通じ合うこともある。
まず精神疾患の知識をつける。それだけで怖さや苦手意識は薄らぐ。患者さんの世界に歩み寄る。こちらから心を開く。
可視化して説明する。問題を箇条書き、図で示す。疾患や薬の説明は、本やツールを使う。それだけで信頼度が増す。専門以外のこともちゃんと説明したうえで専門医に紹介。
言ってはいけないこと。
他の病院の悪口を言わない(後で診た医師は後出しじゃんけんでよくわかる)
また悪くなったら来てください(悪いから来ているけど、全部は説明できない)
たいしたことないですよ。私も同じ経験があります(他者の苦しみを完全に理解できない)
仕事を辞めた方がいい(プライベートに踏み込みすぎない)
ひどい職場ですね。変わった両親ですね。(変わった両親でも代わりはいない)
難しいと思ったら距離をとる。スタッフ間で共有。独りで抱え込まない。
自分のプライベートが忙しいときは無理をしない。
忙しいときは対応が疎かになりトラブルになりやすい。
家族への説明は本人の同意が必要。電話で病状説明はしない。
クレーム対応
大声を出される。突然立ち上がって向かってくる→すぐ逃げて、人を呼んだ上で対応する。
動揺しない。言い返さない。相手の思いを聴く。事実かどうかは置いておいて、不快に感じさせたことについて謝る。
対等の人間として相手の人格を尊重する。家族に病状説明する際は、客観的な事実とともに、患者の人柄や生きる意思を汲み取った説明を心がける。そのためには普段から症状だけを診るのではなく、患者の健康な側面に敬意を持つことが必要。
★てんかん発作
ジアゼパム0.5~1A 側管から数分かけて / レベチラセタム1A生食100㏄1時間かけて
★統合失調症を疑う際
切迫した状況で外来治療するなら、家族へ見守りの依頼を必ず
レキサルティ1mg ラツーダ40mg アリピプラゾール6~12mgで開始 1週間で増減
リスペリドン液1~2ml ジプレキサザイディス5~10mgは水なしで投与可能
経口が無理なら、拘束下や自分で剥がさない状況ならロナセンテープ40mg
高血糖、体重増加に注意(特にオランザピン、クエチアピン)
ラツーダは眠前より夕食後投与の方が効果が出る(空腹時より食後)。
ラツーダ、アリピ、レキサルティは便中に、リスペリ、オラン、クエチは尿中に多く排泄
★うつ病 不安症 パニック症
気分が落ち込む。意欲が出ない。涙ぐむ。体調が悪くて仕事行けない
荒い運転、浪費など躁エピソードの確認をしてから
男性 エスシタロプラム0.5錠から 女性 セルトラリン1錠から
副作用に胃腸症状(吐き気、便秘、下痢)、頭痛、めまい、眠気。若い患者の焦燥感、性機能障害も注意
吐き気が強い、焦燥が強い、自殺念慮があるならミルタザピン0.5錠から(眠気注意)
発達障害、PTSD由来のうつはデュロキセチン20mgまでなら焦燥感が出にくい
吐き気にはドンペリドン併用(プリンペランは中枢移行しやすくEPS出やすい)。
ベンゾと異なりSSRIは依存性がないが、しっかりした効果が出るまで2~4週間かかる。最初の3か月は症状に一進一退。半年で落ち着く。眠気が強い等、副作用が出てきたら減量を考慮。生活が安定していれば1年後から薬を減らしていく(1か月に0.5錠ずつ)。自己中断による離脱症状に注意。
同系統の薬は2種まで。睡眠薬、抗不安薬は合わせて3種まで。65歳以上はベンゾ非推奨。
65歳以上はエスシタロプラム10㎎、エスゾピクロン2㎎、ベルソムラ15㎎までしか投与できない。デエビゴは中等度以上の肝障害で用量減らす。マイスリーは統合失調症、双極症では不可。適時増減の眠剤は2倍量まで可。
抗うつ薬は18歳未満の自殺リスクに注意。特にパロキセチン、妊婦FDAでDランク、離脱症状強く中止しにくい。
抗うつ薬とエクフィナ(パーキンソン治療薬)等MAO-B阻害薬は併用禁忌。ラメルテオン/メラトベルは、フルボキサミンと併用禁忌、キノロンで濃度上昇
ベンゾジアゼピンは重症筋無力症、急性閉塞隅角緑内障に禁忌(フォローされている緑内障はOK) 肺気腫、喘息、脳血管障害は呼吸抑制に注意。反跳性の不安、不眠。
妊娠時のSSRI危険性説明
新生児遷延性肺高血圧(死亡率10~20%)のリスクが2倍。「分娩で1000人に1~2人起こるので、服薬していないと1000人中1人なのが、服薬していると1000人で2人程度に確率が上がる」
乳汁移行 向精神薬の最大量の半分以下ならおおむね可と言われているが、乳児の呼吸、傾眠を十分観察して→ 母乳を与えるメリットとデメリットを勘案して決める。
妊娠する可能性のある女性には、セルトラリンないしエスシタロプラムを選択(FDAランクC) マグミット以外の下剤は禁忌 妊婦は虚証なので実証の漢方は使えない。不安、抑うつ気分に半夏厚朴湯、意欲低下、倦怠感強いなら補中益気湯、不眠主体なら加味帰脾湯
抗精神病薬、三環系、四環系、テトラミド、レスリン、ミルタザピン、フルボキサミンは運転禁止。それ以外のSSRIとSNRIは十分注意して運転可。ただし眠気などの症状があれば禁止。
精神疾患を申告すると公安委員会へ診断書を提出。内服していても運転に必要な能力があるかどうかで判断。ただし運転の推奨はできない。
75歳以上の免許更新で認知機能検査
HDS-R20点以下→認知症で取り消し HDS-R21~25点→半年後に再検査
ADAS10点以上で初期認知症疑い
★躁うつ病(双極症)
妊娠の可能性があれば躁うつ病の薬は投与しない
リチウムは開始時に1~2週間ごと血中濃度。その後も3か月に1回。中毒は意識ぼんやり。
リチウムはてんかん、腎障害(透析、塩分制限)に禁忌。長期投与で甲状腺機能低下。NSAIDsと併用で濃度上昇。発熱、脱水時に注意!
デパケンは投与後6か月以内に肝機能をみる。高アンモニアの意識障害、肝炎、血小板減少に注意。カルバペネム禁忌。
ラミクタール 高率に皮疹。時に重篤(患者が勝手に中止/再開するのに注意)
テグレトールは相互作用多い。B肝、C肝、HIVの治療薬、抗血小板薬と併用禁忌
★ADHD
片づけられない、遅刻、忘れ物(不注意)、ゲーム依存、夜更かし、朝が弱い等。
うつ状態の併存→まずうつの治療から
幼少期にADHD症状が優位で、成人では不注意が残存したASになることも
CAARS と AQの矛盾値、実際の回答の傾向にも注意
アトモキセチン20~40mg分2or1回で開始。小学生(20kg以上)は10mg分2から。
副作用はSNRIと類似。吐き気、頭痛、眠気。 本当の効果が出るまで1か月。
不注意より多動が目立つならインチュニブ1mg夕から。眠気、血圧低下に注意。
アトモキセチン→ 心血管障害に禁忌 中等度以上の肝障害で用量半分に
インチュニブ→ 妊娠、2度以上の房室ブロックに禁忌
コンサータ→ チック、甲状腺機能亢進、不整脈、頻拍に禁忌
★PMS
セルトラリン0.5錠から(黄体期のみ投与で有効)ホルモン補充療法も 抑うつが強いなら当帰芍薬散(虚) イライラが強いなら加味逍遙散(中)
★LOH症候群
遊離テストステロン 8.5pg/ml以下で男性更年期(うつ病と類似)40歳以降のうつ病で疑う。テストステロン低下。体重増加も起こりうる。
補中益気湯(虚)牛車腎気丸(虚)→八味地黄丸(中) ホルモン補充療法も
★むずむず足症候群
まずは貧血、腎不全の除外。カフェインは憎悪因子 心因も除外
第1選択はビ・シフロール(妊婦禁忌 突発性睡眠があり運転禁止) 効果不十分ならレグナイト(透析禁忌 肥満注意 調節障害など眼症状) 貼り薬でニュープロパッチ
★CPAPの適応 一泊二日のPSG検査でAHI20以上or自宅の簡易PSGでAHI40以上(AHI=無呼吸、低呼吸の合計回数)
うつの漢方(気虚を引き締める黄耆、人参を含む)
補中益気湯(虚)だるさがあるとき 六君子湯(虚)胃が悪く食欲ない 加味帰脾湯(虚)熟眠作用(弱いレスリン)
不安症の漢方(鎮静作用のある桂枝、竜骨、牡蠣、柴胡が主剤)
桂枝加竜骨牡蠣湯(虚)うつ、不眠、性欲低下がある時 柴胡加竜骨牡蠣湯(実)イライラを伴う時 抑肝散加陳皮半夏(虚)苛々、焦燥感、不眠に対して
パニック症の漢方
半夏厚朴湯(虚→中) 発作時は四逆散(中→実)ソラナックスの代用、緊張や苛々に 効果不十分なら甘麦大棗湯(実)クエチアピンの代用、パニック、身体症状症、転換症にも適応
★漢方の実証は胃腸の強い人 妊婦、高齢者、胃の弱い人は虚証。虚から処方していく。間違えて実を出すと流産、嘔吐、動悸、頭痛の原因。昼は飲み忘れるので2包朝夕前で開始。カンゾウの重複で低カリウム症、高血圧の恐れ(甘麦大棗湯は特に注意)
要点のみをまとめたゆえの不正確さはご容赦下さい。