TOIN BASE Mとあれこれ話その2 2026年2月13日(金) 勝詩/真田柊太/しばたやん子/伊藤和成
彼女の音楽は、飾り気が無い。
そういうことを感じたのは、ひょっとしたら一部、その日の共演者のせいかもしれません。兄貴分の真田柊太さんが出るし、マスターの誕生日ということで、岐阜から、呼ばれてないのに歌いに来たという伊藤和成さん。触れたら即切れるような歌声とギターのカッティングを叩き込む。
個人的には2000年前後、ナンバーガールや椎名林檎以降に続々現れたインディーロックバンドを思い出しました。それと、彼や後述の真田さんは、元19(ジューク)の岩瀬敬吾とよく共演されてるんですね。
演奏の凄みに比して、他の人が言ったらダダ滑りしそうな、しかし彼が言い放つと刺さるMCの連発。ひたすらボケをぶん投げて、打ち返されても捕らない、というか、彼なりの捕り方なのか。
次の曲は秋についての曲で、というときに、真田さんに何の前相談もなしに「どの季節が好きですか」と投げて、「春かな」と返されて、「・・・ちょっと、僕(の好み)と違いましたね。秋の歌をやります」で、成立させてしまうのは、言葉や理屈ではなく、彼の人間性ゆえ? 得? それとも人徳?
そしてその(関西、和歌山出身なのでしょうか)真田柊太さん。飄々として、一聴、ゆったり。伊藤さんのド直球な演奏を受け止めるかのようなパフォーマンス。二人のミュージシャンの関係性を、人によってはJUNEとかボーイズラブの文脈で受け止めそうな・・・。『摩利と新吾』とか『BANANA FISH』とかみたいに。
実際に芸術家がどういった意図で表現していようが、受け取り方は人それぞれ、千差万別。だから曲の意味は説明しない、というのも一つの考え方だし、丁寧に説明するというのも一つ。
この曲は何も知らずに聞けば、恋人同士のすれ違いを歌ったと解釈されるでしょうが、真田さんはわざわざ演奏前に、分かり合えない職場の上司とのことから発想したのだと説明されました。
トリで香川から勝詩さん。日本人固有のブルースだと思いました。後で調べると、CHAGE and ASKAやBEGINの影響を受けたそうで、そのものズバリ。チャゲアスって演歌とブルーアイドソウルだろうし、BEGINは沖縄の魂だろうし。
小学生の頃の淡い初恋の思い出が宇宙的な愛に直接リンクするような、壮大な歌詞世界といい、元々、エモーショナルな方なのでしょうが、「閉ざされたこの部屋で海を見たんだ」という曲には度肝を抜かれました。病気で動けなくなって入院した体験に由来する曲だそうですが、音楽ジャンルは違いますが、ブライアン・ウィルソンが、サーフィンやドライブ、輝かしい青春と(おそらく)縁遠い性格だったからこそビーチ・ボーイズの海に関する歌が生まれたように、今、現在、自分が得られないからこそ、激しく求める。その熱量が、聴くものの胸を震わせます。