「生き心地の良い町」岡檀 / 「その島のひとたちは、ひとの話をきかない」森川すいめい
「生き心地の良い町」岡檀
以前、オープンダイアローグについて読んでいて、精神科医の森川すいめいの著作でこの本のことを知りました。徳島県旧海部町は周辺の同環境の自治体に比べて自殺率が低い。それは何故なのかを調査した記録です。
様々な地域から仕事のために流入した人々のコミュニティだから、元々の地縁血縁、しがらみが少ない。海部町はゆるくつながるコミュニティ。人間関係が緊密ではないから、同調圧力も無い。複数のコミュニティを出たり入ったり。人間関係の硬直がない。ここ以外でも生きられる。
別の意見を言ってもいい空気があるから、少数者を一斉攻撃するような悪い力が増幅しない。人物の評価を決めつけない。良い面と悪い面は裏表。両方見る。
上からの圧力で動かされるのではなく、若者が主体的に決める。弱音は吐いていい。当然の権利として、精神科受診、デイサービスを利用する。迷惑だと思わないでいい。
「病」は市に出せ 病気や対人トラブルで一人で悩まない。うつを悪い意味で特別視しない。偏見を持たない。「うつなんやって。様子見に行かな」と口々に言う。それらは「弱音を吐いても大丈夫だよ」という態度、非言語的メッセージ。
助けを求めやすい環境。人々が集まるサロンが多い。共同の洗濯物干し場、お寺、集会所。いろんな人がいてもよい いろんな人がいたほうがよい。世の中の主流の価値観に左右されない。幸せでも不幸せでもない。ちょうどよい。
「その島のひとたちは、ひとの話をきかない」森川すいめい
何気ない。でも、心を揺さぶるエピソードがいくつもあります。森川すいめいは、現場に向かい、自分の足で稼ぐ精神科医。
良い意味で人の話を聞かないとは、自分の人生があり、自分の意見を持っているということ。人に、世間に左右されないこと。人に何か押し付けるのは野暮。都会の人みたいにかっこつけなくていい。自分は自分、他人は他人。
誰かを助けたいときは、「助けが必要ですか?」と聞くのではなく「助けに来たよ」と伝える。助けたい気持ちを態度で示す。世間の評価で正しい行為だからではなく、自分が助けたいから助けるのだ。
自分から助けを求められない人がいる。何かしましょうか?と判断を委ねられると躊躇するかもしれない。助けが必要か見極めるために、お互いをよく知ることが必要。
