標準型精神分析療法(45分以上)のための基礎知識

標準型精神分析療法(45分以上)のための基礎知識


フロイトの精神分析は「無意識」を扱う。

意識すると苦しい記憶とそれに伴う感情を無意識へ押しやる。これを「抑圧」という。

例えば幼少期の親子関係など、抑圧された内容は形を変えて、夢、空想、妄想や症状(抑うつ、身体症状など)になる。

無意識の中へ抑圧された何かによって苦しむのが「神経症」。DSMでは抑うつ神経症はうつ病に、不安神経症不安症に、外傷神経症はPTSDに内包された。


抑圧を扱っていると、かつての父や母に向けた感情(エディプス・コンプレックス等)を治療者に向け出す.これが「転移」


幼少期に繰り返し体験された感情が、一種の習慣となり、現在の性格や行動パターンを支配する。これを「反復強迫」と呼ぶ.それが死(タナトス)の本能による自己破壊的な行動だと、運命神経症。それは今日の愛着障害、複雑性PTSDに通じる。

(以上、小此木圭吾「精神分析ノート」を参考に)


フロイト以降 「対象関係論」

メラニー・クライン

赤ちゃんの心の中で何が起きているのか

母親を、良い乳房と悪い乳房にスプリッティング(分裂)。自分の中の耐えがたい不安(死の本能)を悪い乳房である母親に押し付ける(投影)。この状態が妄想分裂ポジション。しだいに、おっぱいを吸わせてくれる母と、家事をしていて吸わせてくれない母が同一と気づく。母親を憎んで攻撃してしまったことを悔やむ罪悪感、喪失感(≒原罪)が生じ、抑うつポジションに移行。

→境界性パーソナリティを理解するための重要概念



ビオン

赤ちゃんは母親を介して、心を発展させる。母子間の共有

コンテイナー・コンテインド

赤ちゃんの不安を母親が受け止め、理解し共有する。

「子どもが転んで泣いたら、痛かったね、よしよし、痛いの痛いの飛んでけ」

母親が受け止めてくれたから耐えられる。

母親は、赤ちゃんが処理できない感覚に意味付けして、思考力を育てる(アルファ機能)

→コンテイニング、感情調整、メンタライゼーションとして心理療法に発展


ビザール・オブジェクト

強い分裂と投影が起こると、心の一部が外界に投影され、奇妙で迫害的な対象として知覚される→精神病の被害妄想



ウィニコット

「ほどよい母親」(Good-enough Mother)から、しだいに離れていく、その不安を「移行対象」(ハンカチやぬいぐるみ等)にも頼りながら、「遊び」を通して世界とのかかわり方を学び自立していく。




日本の土居健郎は、精神疾患は、人生最初期の「甘え」の失敗に由来するとした。

甘えは、人間存在の奥深く潜む最も原始的な衝動であり、叶えられないと恨みに変わりやすい。甘えは非言語的。無自覚で、依存につながるもの。甘えという概念は欧米では表現しにくいため、フロイトは依存や同性愛感情として表現した。


神経症のとらわれは甘えの抑圧に由来

分裂病の自我障害は甘えの欠如に由来

と土井はいうが、すると、最初から甘えを知らない状態は→自閉 ただし対人関係を求めていないわけではない。

村上春樹は自閉スペクトラム的な世界観を書いており、彼の描く主人公は嫉妬(変形された甘え)を知らないとしばしば言う。


 甘えは対人関係を通してパーソナリティを形成していく。最初期は親子関係で、体をもって感じられるもので、言語記憶ではなく身体感覚。成長した後ははっきり思い出すものではなく、その人の行動形式(パーソナリティ)として反復される。