11月4日覚え書き
伊藤計劃のSF小説『ハーモニー』において、脳内の報酬系が完全に調和(ハーモニー)してしまえば、人間の精神活動は全て停止し、人類は滅びるとされていました。
岡田尊司『子どもの「心の病」を知る』の、物質関連障害の項で、種や個体の保存に有利なことをすると、報酬系のシステムが働く。それを過剰に働かせるのが違法薬物であると説明されている。つまり、報酬系の働き(具体的にはドーパミンやエンドルフィンといった脳内麻薬の行き来)が過剰になっても過少になってもいけないし、その行き来が調和してしまっても、生命の営みはうまくいかなくなるということだろうか。
同書のPTSDの項では、ヴェトナム戦争のPTSDを扱った映画『ディア・ハンター』が紹介されています。ヴェトナム戦争を経験し、破滅的なギャンブルと麻薬によってしかトラウマを紛らすことができなくなったニックという青年は、サイゴン陥落の際に、「俺はもう戻らない」と親友の助けを振り払う。PTSDはある地点まで行くと、とりかえしがつかない。
「境界例の臨床と尾崎豊」『精神科治療学』(第19巻第2号)を読んでから気になっていた井原裕先生の著作を読んでいます。『思春期の精神科面接ライブ』で、うつ状態になった高校球児の診察という設定の話で、「超回復」について説明しています。
練習の後、しっかり睡眠をとれば、破壊された筋繊維が回復して、前より大きくなる。井原先生は、どんな病気でも休養が大切だという非常にシンプルかつ効果的な説明をされますが、これを極端にしたものが、ドラゴンボールで、サイヤ人が死の淵から蘇るとパワーアップするという理屈ではないでしょうか。ドラゴンボールは実は常識的な当たり前のことを書いているだけなことが多いです。